ビジネス本

『HELLO,DESIGN 日本人とデザイン』石川 俊祐




すべてのビジネスパーソンはデザイナーであるべき

ここでいう「デザイン」という言葉は意匠、ではなく、設計の意味に近いです。
ビジネスプラン、ビジネスデザイン、という言葉を並べた時に、前者は単なる事業計画なのに対し、後者は未来を描いた仕事の企てを指します。

アートとデザインの違い

すごく納得したのですが、アートは表現する側の強い想いが表れたものであり、受けて側の気持ちから逆算されたものではないということ。一方、デザインの考え方は、人々の中にある潜在的な課題、願望を読み解きあるべき姿を形にすることであり、「課題の発見とその解決」が本質であるのだといいます。

去年、横浜美術館でトリエンナーレをやっていてふらっと見に行ったのですが、今の私はこの芸術を理解することはできないな、という学びを得て帰宅しました。

そこで、芸術は人々にどう伝わるかじゃない、芸術家が何をどう伝えたいのかなんだな、と思ったのをこの本を読んで思い出しました。

この本で言っているデザイン思考はアートではなく、課題解決のためのものなんですね。

この考えが仕事でどう活かされるかという具体例が、ディズニーやキンドルの話で紹介されています。

ウォルト・ディズニーが遊園地で子供達を遊ばせている時、大人も一緒に遊べる場所がほしいと思いディズニーランドを作った話。

キンドルは本をもっと身近に、安く、将来の競合であるブログやウェブ記事に負けないよう、本が選ばれ続けるよう、開発されたものである話。

どちらも「どうすれば儲かるか」ではなく、「消費者が求めているものは何か」という視点から生まれたもので、この逆算思考がデザイン思考であると言えます。

フォードの話

これは昔他の本でも読んだことがあります。
消費者が何を求めているかを知るためには、消費者に聞くのが近道、と考えがちですがそうではなく、ここでデザイン思考が必要になります。

車がなく、移動手段は主に馬車であった時代、人々に何がほしいかと尋ねると、「もっと足の速い馬」、「揺れない馬」という答えが返ってきたそうです。

でもこの言葉の裏側には「もっと早く快適に移動する手段」がほしいのであり、その潜在ニーズを掴み、自動車を発明するにいたる思考がデザイン思考です。

日本人は「デザイン思考最強」

料亭で、汁物の湿気を吸って風味が残らないようにあらかじめ割り箸をかすかに湿らせておく、座敷で脱いだ靴が帰る時にはきれいに揃えられている、自販機で光るのは入れた料金で買える飲み物のボタンだけ、などは日本で育った文化だそうです。

あまり気にしたことがなかったですが、こうして並べられると、すごいおもてなしの文化だなあと思いました。

こうした文化も、どうしたら人がよろこんでくれるかを考え抜いた結果生み出されたもので、デザイン思考に必須の「人間中心」の考えに基づいたものです。

こうした細かい気配りが身の回りにたくさんあるのに気付いてないだけなんだろうなと思いました。

まずは気づくところから始めたいと思います。

先日ジャムセッションで、配られた楽譜を返却する時あるホストミュージシャンの方が、きちんと相手の向きに直して楽譜を返していました。

それまでも品のある方だなあと思って見ていたのですが、それを見た時にこんな大人になりたい、と思いました。

その話を一緒にいたお姉さんにしたら、アンテナ貼ってないとそれにも気づけないと言っていたのを思い出しました。

人への気遣い、気をつけていますがまだまだできていないことや周りの人から学ぶべきことがたくさんあるんだろうな〜と思います。

自分がそうやって気をつけていると、周りの人が気をつけてやってくれていることに気づけて感謝の気持ちを伝えると相手が嬉しくなってまたやっちゃう、みたいな循環がとても素敵だなと思っています。




 

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