小説

『燃える秋』五木寛之




高級なペルシャ絨毯は一枚仕上げるのに30余年かかります。

それに比べれば20代女性が悔いる2年間の過ごし方などちっぽけなもの。

長く自分を縛っていた男性と、それを忘れさせてくれる男性がいて、
後者の存在により前者を忘れられないという矛盾もあり、主人公は2人ともから離れたいと思うようになります。

犬がオートバイに轢かれた時に彼が放った、犬の命を軽視する発言に対する嫌悪感、長く付き合った男性が癌に侵され死が身近なものになったときのその人の在り方に対する尊敬、それと比較した時の若い男性の浅さが、ここまで言う?という言葉で表現されていて、「わかる!」以上の、もし、自分が主人公の立場だったたらその気持ちはこう表現されるんだ、ということを教えられているような感覚がありました。

自分の考えていることがよくわからない、と繰り返し口にする主人公ですが、わからないなりの描写や感情表現、生理的な拒否反応に様々なかたちで表れていて、不思議と共感、というより、のめり込めます。

ペルシャ絨毯に出会い、ペルシャのことを学び、仕事をやめてイランに行こうと決意するのですが、目的を聞かれて、目的はないと答えます。

旭川にふらっと行った時の記事でも書いたのですが、

旅に目的なんて必要ないよね、という考え方がこの主人公と共通しているのがなんだか嬉しく感じられました。

終盤は、やりたいことをやりたいままにする主人公の潔さに快感を覚えつつ、うなりたくなるようなラストで華金を楽しみました。

下手に映画見にいくよりじっくり小説を読む時間、とてもいいですね。




 

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